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喪失の先に待ち受けるもの
大事な人を失ってからというもの、主人公はいつもデパートの屋上で空を見上げていた―。

喪失すること、そしてそれを受け入れること。

避けることの出来ない“終わり”と対峙しなければならない時、人は何を思うのでしょうか…。

「憂鬱の中から立ち上がったアジアンタムだけが、生き残っていく」シンプルながら胸が熱くなる物語
筋そのものはオーソドックスで、いわゆる「泣き」小説です。

ただ、筆者の独特の間のある文章やもってまわった比喩表現のおかげか、キザな台詞回しが嫌味にならず、どこかさわやかさを感じさせる小説でした。

筆者は村上春樹に影響されたそうですが、言われてみるとそんな感じですね。

読み進めるにつれ、主人公の想いに共感して胸が熱くなってきますが、不思議とただ悲しいだけの涙でなく、清涼な読後感が残ります。

世に喪失の物語は無数にあふれていますが、無意味に悲惨だったり暴力的だったりすることなく2人の絆を美しく描いた佳作だと思います。

静謐とした美しい死
「最愛の人との最後の別れをどこでどのような形で迎えるか」「愛する人の死からどのようにして回復するか」という2つのテーマについて考えさせられる。

全体を通じてレクイエムのように静かで幻想的な情景が浮かび、小説世界にひきこまれた。

恋人が亡くなったところから始まり、出会いに遡って描かれるストーリーは、まさに映画的で純愛をたっぷり満喫できる小説だった。

アジアンタムブルー (角川文庫)大崎 善生

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