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悲惨な状況を救わねばならない
本書冒頭のツポレフ機の描写を見て、1995年一人で訪朝した時の事を思い出した。
この年、参議院議員だった、アントニオ猪木は、尊敬する力道山出生の地である
北朝鮮で、「世界スポーツ平和祭典」と銘打ちプロレス興行を行った。

これにあわせて、名古屋から、チャーター機が飛んだ。
名古屋、小牧空港に駐機した高麗航空機は、近づくと、塗料の塗りがでこぼこで、
ロゴの機体名は歪んでいた。

中の椅子はジュラルミンではなくて鉄でできていた。丈夫そうだが重いだろう。
プレミアムの席料を払ったのに、前にあるだけで、他の席と変わりはない。
男の客室乗務員が、機内食を投げつけるようにして、配った。
甘味だけ食べたが甘くなかった。

客は、プロレスファン、社会主義に興味があるという元中学の社会科教師夫婦、
親戚訪問もかねて帰国する在日同胞、僕のような朝鮮オタク。後は得体の知れない人々。

平壌順安空港に着くと、乗客のおばちゃんがパチカメで空港を撮りだしたので、僕は
慌てて止めたが、AK47カラシニコフを携帯する兵士は何の制止もしない。
おばちゃんの方が正しかった。でも、僕は、手違いで持ってきてしまった携帯電話を取り上げられた。

あれから、15年、脱北するひとは絶えない。この小説は、大量の資料に当たり
脱北しなければならない人々の事情、そしてその、想像を絶する過酷さを余す事なく描いている。

脱北者の環境はどんどん悪化している
本書冒頭のツポレフ機の描写を見て、1995年一人で訪朝した時の事を思い出した。
この年、参議院議員だった、アントニオ猪木は、尊敬する力道山出生の地である
北朝鮮で、「世界スポーツ平和祭典」と銘打ちプロレス興行を行った。

これにあわせて、名古屋から、チャーター機が飛んだ。
ツアー料金25万円、プレミアの席代2万円、プロレスのリングサイド席の指定料金
7千円を中外旅行社に振り込み機上の人となる。

名古屋、小牧空港に駐機した高麗航空機は、近づくと、塗料の塗りがでこぼこで、
ロゴの機体名は歪んでいた。

中の椅子はジュラルミンではなくて鉄でできていた。丈夫そうだが重いだろう。
プレミアムの席料を払ったのに、前にあるだけで、他の席と変わりはない。
男の客室乗務員が、機内食を投げつけるようにして、配った。
甘味だけ食べたが甘くなかった。

客は、プロレスファン、社会主義に興味があるという元中学の社会科教師夫婦、
親戚訪問もかねて帰国する在日同胞、僕のような朝鮮オタク。後は得体の知れない人々。

平壌順安空港に着くと、乗客のおばちゃんがパチカメで空港を撮りだしたので、僕は
慌てて止めたが、AK47カラシニコフを携帯する兵士は何の制止もしない。
おばちゃんの方が正しかった。でも、僕は、手違いで持ってきてしまった携帯電話を取り上げられた。

あれから、15年、脱北するひとは絶えない。この小説は、大量の資料に当たり
脱北しなければならない人々の事情、そしてその、想像を絶する過酷さを余す事なく描いている。

北朝鮮のリアルな実情と≪疫病神≫コンビのシノギとのマッチング
建設コンサルタント二宮と暴力団「二蝶会」の桑原が再びコンビで登場する『疫病神』の続編。今回は“知られざる隣国”北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の実態を描いた大作である。物語は前作よりストレートで、詐欺師を追いかけ、≪疫病神≫コンビが北朝鮮へ潜入するというもの。

一回目は奈良県日朝友好議員連盟主催のチャーター便でパックツアーとして平壌へ。不自由な旅行日程の隙間を抜け出し、もう一歩というところで逃げられる。そして二回目。今度は金にものをいわせて中国朝鮮族自治区から北部北朝鮮に不法入国する。さんざんな目にあいながらも詐欺師を捕まえることに成功したふたりだったが、命からがら北朝鮮から出国し、詐欺師の日本の黒幕に迫る。

とまあストーリーは単純だが、小泉訪朝前の北朝鮮の実態は、巻末の膨大な参考文献からもうかがえるように実にリアルだ。それが、ノンフィクションやルポルタージュでなく、またお堅い社会派小説とか、スパイ・冒険小説でなく、ハードボイルドというかノワールというか極道エンターテインメント小説のなかに、≪疫病神≫コンビの行動範囲としてあたりまえのように、しかし精緻に描かれているところに意味があると思う。

それにしても、北朝鮮というのは何という国家なのだろう。作品中の桑原の言葉の数々から分かるように思わず眉をひそめたくなる。

この北朝鮮という特殊な舞台で、前作ほど強烈なドツキ、ドツカレはないものの、≪疫病神≫コンビの絶妙なコンビネーションは、個性豊かな脇役陣も手伝って、時には笑いをかみ殺し、時にはハラハラ・ドキドキして、文庫にして831ページにもなる大長編なのに、休むことなくページを捲らせてくれる。


国境 (講談社文庫) 黒川 博行


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