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「想像力」に脱帽
やっぱり物足りないかなあという感じ
桐野夏生さんの作品は、
村野ミロのシリーズや、「OUT」など、

長編は、いくつか読んでいるのですが
短編集は恐らく初めてです。


「アンボス・ムンドス」には
7編入っているのですが、

私としては、表題の「アンボス・ムンドス」よりも

前半の4編、「植林」「ルビー」「怪物たちの夜会」
「愛ランド」の方が印象に残りました。

桐野夏生さんらしい、という感じでしょうか。

この短編集について、ネットで感想を見てみると

皆さん、決まったように、女性の「毒」といった言葉を
使われてる方が多いのですが、

私は、感覚が鈍いのか、読みなれてるのか
それほどは感じなかったです。


自分にとって衝撃的だったというか
印象深い桐野夏生作品は

映画化もされた「OUT」と、もうひとつ、
タイトルは忘れてしまいましたが

村野ミロの人間関係が全部壊れて、
シリーズ最後かと思われる作品。


それらに比べれば、
やっぱり物足りないかなあという感じ。

無意識のうちに、桐野夏生さんには、
重い長編を期待しているのかも知れません。


桐野さんの「想像力」に脱帽
「愛ランド」では、地味で中年の独身女性、鶴子が自分の性体験を告白する。それは結構突拍子もない話で、さまざまな年齢の女がある島に連れられ、その島で女たちは男どもに競り落とされるというもの。鶴子も男たちから競り落とされ、思いっきりいたぶられるがそれが快感で止められないという話。

地味な40代の自分を奴隷として性の対象としてみてくれることに渇望感があり、それを満たしてもらえる喜びが鶴子にはたまらないのだろう。今まで見向きもされずに生きていただけに、自分のためにお金を払ってまでチヤホヤしてくれていることに恍惚するのだろう。

美人で才女の桐野さんの「想像力」に脱帽してしまった1冊だ。

短編でもすごすぎる、桐野ワールド
「グロテスク」以来、あまりにバイオレントなパワーに臆していたが、短編集ならと久しぶりに手にとった。一作ごとの完成度が高く、「読んだ」というずしりとした手ごたえを感じた。しかし、読後感はあまりよくなかった。世界はこんなに悪意や敵意に満ちた場所だったろうか? 女とはかくも残酷で邪悪だったろうか? とくに、見ず知らずの子どもに恐怖を植えつける「植林」や、毒草ばかり植えて義父への恨みを募らせる娘が、義父ともども突然殺されてしまう「毒童」はすごい、うまい、だけど救いがない! 疲れてしまった。「小説を書くのは悪人でなければならない」「表現することは闘うこと」という桐野さんの文章に、悪人になって闘う彼女自身が投影されているように感じた。


アンボス・ムンドス―ふたつの世界 (文春文庫) 桐野 夏生
チャムス
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