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ストーリーの面白さと文章の美しさ
物悲しいお話ですが、こころのひだが描かれています。 挿絵も美しい。
初めての谷崎でした。イメージしていた淫靡な感じではない(これまでなんとなく避けていた理由)。滋幹の父、大納言国経に自分の気持ちを投影してみると、ちょっと耐え難い気分になってしまいます。物悲しいお話ですが、こころのひだが描かれています。
挿絵も美しい。

タイトルはあまり気にしなくてもいいかもしれない
話は冒頭から滋幹と母を主軸に描かれるのかと思いきや、始めは全く滋幹が出てこなかったりとタイトルから想像していた話とはだいぶ違った。又スタイルもどことなく澁澤を思い起こさせる風なものであった。しかしさすがは谷崎、と感じたのは難解な用語を含むのにするすると読者に読ませてしまうその力量である。谷崎の文章の美しさとはこのような部分にも現れているんだろうな、と思った。


古典を消化し創作を融合した最高の作品
平中の好色話から始まり、時平の強奪愛、そして奪われた国経の不浄観への傾斜と、話は次々に展開してゆきます。
しかし、結局は40年ぶりに滋幹が母親に会い涙する場面に集約されてしまいます。

その古典を縦横無尽に引用しながら、そこに創作の部分を見事に織り込んでいます。
そして、その文章の美しさ。
文体が古いこともあって、読みにくさがあるかも知れませんが、それを超越してしまう素晴らしい文章です。

ストーリーの面白さと文章の美しさが、古典の原作を見事に消化し、完全な谷崎文学になっています。

何十年振りかで読みましたが、やっぱり最高の作品です。

少将滋幹の母

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