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知的に再現された失われた時代の姿
2010.10.07 Thursday
元教師の誠意を感じさせる強い思い
ベッキーさんシリーズ2作目。
全3部作で、もちろん順番通り読むのが望ましいのですが、この真ん中が一番出来が良い巻になっています。
右翼の物言いに、日教組が日本をダメにしたという話がありますが。
少なくとも戦争反対の面では、教師たちは左翼的なおもわくでもなく(当然だ、共産国家にだって軍隊はある)、資本主義批判でも、平等思想でもなく、ただただ子供を死なせたくないという思いで行動したのだと、その切々とした気持ちが伝わってくる内容です。
作者が元教師で、教師だったからこそ長年徹底的に考えてきた事が、ぎゅっと詰まった、重い、重い、一冊です。
北村薫の描く少女は、美しすぎて嘘っぽいと思う人も多いようですが。
若者の多くが、ある面不器用なまでに美しい思いを抱えているという事実を、彼は教師という職業を通して、また父親として知ったのではないでしょうか。
そして、それを守りたいと切実に思い、しかし守ることの困難さも実感したのだろうと思うのです。
全ての若い女性のそばに、(彼女を守り、彼女を導く、分別ある年上の女性)ベッキーさんを一人ずつ置いてあげたい。しかしまた、その素晴らしいベッキーさんも、一人の弱い女性であり、できるなら彼女の側に彼女を守る素晴らしい男性にいてもらいたい。
それが北村薫の偽らざる本心だろうと思うのです。
天罰か
ベッキーさんシリーズの第2弾(全3巻)。
「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天」の3本の短篇が収められている。
ミステリとしては評価が難しい。「幻の橋」と「想夫恋」は箸にも棒にもかからないレベル。「玻璃の天」はアイデアは面白いが、うまく生かし切れていないように感じた。
しかし、このシリーズの主眼は、ミステリの部分にはないのだと思う。第二次大戦直前の日本の上流社会を幻想的に描くという点に力が入れられている。軍国主義的な傾向への強烈な批判が込められている。
しかし、それも好き嫌いが別れそう。私は苦手。
知的に再現された失われた時代の姿
女子学習院の生徒のお嬢様を主人公として描かれるのは,1933 (昭和8) 年の東京の上流階級の世界.作者は厖大な資料を駆使して,今では完全に失われてしまった社会を昨日のことのように描き出す.この時代の空気は,ここに書かれた通り,物言えば唇寒し所か,生命の危険さえある漠然たるテロの恐怖に満ちたものであった.その空気が実感できるのが作者の手柄である.私はこの恐ろしい空気の中を生きただけに,作者に感謝したい.それと日本の古典文学,中華の漢文文書に対する教養は,この時代の初等中等教育の水準の高さの結果であることに注意したい.戦後の学制改革,教育改革は本質的に敗戦国の教育水準を下げる企みで,その結果が現在の嘆かわしい状態なのである.貴族階級が亡びるのはよいとしても,知的水準までが亡びるのは口惜しい.そういうことをこのお嬢様シリーズは痛感させてくれる.強く推薦.なお,会話の応答で,返す,という表現はこの時代ではあり得ない (お言葉を返すようですが,と言って反論する時に限る).それから食材という言葉はなかった.強いて言えば素材か材料だろう.難点はその程度で,真に見上げた時代再現である.
玻璃の天 (文春文庫) 北村 薫
イルビゾンテ
ベッキーさんシリーズ2作目。
全3部作で、もちろん順番通り読むのが望ましいのですが、この真ん中が一番出来が良い巻になっています。
右翼の物言いに、日教組が日本をダメにしたという話がありますが。
少なくとも戦争反対の面では、教師たちは左翼的なおもわくでもなく(当然だ、共産国家にだって軍隊はある)、資本主義批判でも、平等思想でもなく、ただただ子供を死なせたくないという思いで行動したのだと、その切々とした気持ちが伝わってくる内容です。
作者が元教師で、教師だったからこそ長年徹底的に考えてきた事が、ぎゅっと詰まった、重い、重い、一冊です。
北村薫の描く少女は、美しすぎて嘘っぽいと思う人も多いようですが。
若者の多くが、ある面不器用なまでに美しい思いを抱えているという事実を、彼は教師という職業を通して、また父親として知ったのではないでしょうか。
そして、それを守りたいと切実に思い、しかし守ることの困難さも実感したのだろうと思うのです。
全ての若い女性のそばに、(彼女を守り、彼女を導く、分別ある年上の女性)ベッキーさんを一人ずつ置いてあげたい。しかしまた、その素晴らしいベッキーさんも、一人の弱い女性であり、できるなら彼女の側に彼女を守る素晴らしい男性にいてもらいたい。
それが北村薫の偽らざる本心だろうと思うのです。
天罰か
ベッキーさんシリーズの第2弾(全3巻)。
「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天」の3本の短篇が収められている。
ミステリとしては評価が難しい。「幻の橋」と「想夫恋」は箸にも棒にもかからないレベル。「玻璃の天」はアイデアは面白いが、うまく生かし切れていないように感じた。
しかし、このシリーズの主眼は、ミステリの部分にはないのだと思う。第二次大戦直前の日本の上流社会を幻想的に描くという点に力が入れられている。軍国主義的な傾向への強烈な批判が込められている。
しかし、それも好き嫌いが別れそう。私は苦手。
知的に再現された失われた時代の姿
女子学習院の生徒のお嬢様を主人公として描かれるのは,1933 (昭和8) 年の東京の上流階級の世界.作者は厖大な資料を駆使して,今では完全に失われてしまった社会を昨日のことのように描き出す.この時代の空気は,ここに書かれた通り,物言えば唇寒し所か,生命の危険さえある漠然たるテロの恐怖に満ちたものであった.その空気が実感できるのが作者の手柄である.私はこの恐ろしい空気の中を生きただけに,作者に感謝したい.それと日本の古典文学,中華の漢文文書に対する教養は,この時代の初等中等教育の水準の高さの結果であることに注意したい.戦後の学制改革,教育改革は本質的に敗戦国の教育水準を下げる企みで,その結果が現在の嘆かわしい状態なのである.貴族階級が亡びるのはよいとしても,知的水準までが亡びるのは口惜しい.そういうことをこのお嬢様シリーズは痛感させてくれる.強く推薦.なお,会話の応答で,返す,という表現はこの時代ではあり得ない (お言葉を返すようですが,と言って反論する時に限る).それから食材という言葉はなかった.強いて言えば素材か材料だろう.難点はその程度で,真に見上げた時代再現である.
玻璃の天 (文春文庫) 北村 薫
イルビゾンテ
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大きな夢を持ってもいいんだ
2010.10.04 Monday
「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの週間
本当の幸せとは?
心の底から望む夢とは?
自分の使命とは?
それらを考え、行動に移し、上手くいかない時の理由や乗り越え方などが、1つの物語として書かれています。
とても大きな夢を持ってもいいんだ
その夢を叶える為の行動をしていけば
夢は叶う
人生に迷っておられる方に、お勧めです
今の時代だから、この習慣が役立つのかも
「人知れず他の人のためになるいいことをする」
「他人の成功を心から祝福する」
「どんなに人に対しても愛をもって接する」
昔から色々な形で伝えられている幸せの法則ですが、
フットワークの軽い今の時代だからこそ、この法則が
誰でも簡単に活かせるのではないかと、ワクワクしてくる一冊です。
一方、ちょっと驚きだったのが、財産やマイホームを欲しいと
思い続けて、やっと手に入れた人の多くが抱く感情が
「失う不安」
と言う文章。そんなこと、考えたことありませんでしたが、
妙に説得力がありました。
小説なのにとてもリアルに感じるのは、著者の経験をもとに
書かれているからでしょうか。
大きな感動はないけれど・・・いい話
人生を使って何をしようと思っているか?
これがこの本で1番印象的だった言葉です。
この人生の目的・夢が定まっていないと、いくらお金を手に入れても、高級な物を手に入れてもそれを失うことに不安になるだけ。
なぜ、それが必要なのかが明確であれば不安を感じることはなくなる。
手に入れたものは全て、夢を実現するための「道具」だからだそうだ。
つまり、料理をするためにフライパンを手に入れて不安になる人いないでしょう?
ってところかしら。
人生で何がしたいか→幸せになりたい→何をしたら幸せか→答え??
に行き着く気がします。
一般的な答えは、人が幸せになるのを手伝って、自分も周りも幸せになることなんでしょうね?
その方法にオリジナリティが出てくる。
「幸せとは未来を予想する力だ」
面白い表現です★
『手紙屋』ほど大きな感動はないけれど、さらっと読めるいいお話です。
「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣 喜多川 泰
フェンディ バッグ
本当の幸せとは?
心の底から望む夢とは?
自分の使命とは?
それらを考え、行動に移し、上手くいかない時の理由や乗り越え方などが、1つの物語として書かれています。
とても大きな夢を持ってもいいんだ
その夢を叶える為の行動をしていけば
夢は叶う
人生に迷っておられる方に、お勧めです
今の時代だから、この習慣が役立つのかも
「人知れず他の人のためになるいいことをする」
「他人の成功を心から祝福する」
「どんなに人に対しても愛をもって接する」
昔から色々な形で伝えられている幸せの法則ですが、
フットワークの軽い今の時代だからこそ、この法則が
誰でも簡単に活かせるのではないかと、ワクワクしてくる一冊です。
一方、ちょっと驚きだったのが、財産やマイホームを欲しいと
思い続けて、やっと手に入れた人の多くが抱く感情が
「失う不安」
と言う文章。そんなこと、考えたことありませんでしたが、
妙に説得力がありました。
小説なのにとてもリアルに感じるのは、著者の経験をもとに
書かれているからでしょうか。
大きな感動はないけれど・・・いい話
人生を使って何をしようと思っているか?
これがこの本で1番印象的だった言葉です。
この人生の目的・夢が定まっていないと、いくらお金を手に入れても、高級な物を手に入れてもそれを失うことに不安になるだけ。
なぜ、それが必要なのかが明確であれば不安を感じることはなくなる。
手に入れたものは全て、夢を実現するための「道具」だからだそうだ。
つまり、料理をするためにフライパンを手に入れて不安になる人いないでしょう?
ってところかしら。
人生で何がしたいか→幸せになりたい→何をしたら幸せか→答え??
に行き着く気がします。
一般的な答えは、人が幸せになるのを手伝って、自分も周りも幸せになることなんでしょうね?
その方法にオリジナリティが出てくる。
「幸せとは未来を予想する力だ」
面白い表現です★
『手紙屋』ほど大きな感動はないけれど、さらっと読めるいいお話です。
「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣 喜多川 泰
フェンディ バッグ
まるで水彩画のような作品
2010.10.03 Sunday
日本の美
他のレビュアーも書いていますが、本書の印象を一言で表すなら「美」だと思います。
本書に出てくる生け花からもその印象が助長されていると思えますが、文体そのものも非常に美しいものです。
もし本書を映画化するなら主人公は一体誰が演じるのだろうか?などと考えながら読んでしまいました。
芸術作品
私は中2の時にこの小説を初めて読みました。
当時読書にあまり興味のなかった自分は好きなミュージシャンがこの本を気にいっているということで読みましたが、あまりの美しさに衝撃を受けた覚えがあります。
まるで水彩画のような作品です。
以後、読書が好きになった私は様々な本を読みますが、今でもこの本を1番気にいっています。
私はまだ高校生なので周りには流行りの本を好む子が多く、この本を紹介してもあまり興味を持ってくれません。
このレビューを見たらぜひ読んで頂けたら嬉しいです(^^)鎌倉を、この本を携えて
鎌倉を舞台に、若き男女の恋を軸に描かれた話。
老若男女 問わず、誰をも受け入れてくれる作品。
無駄がない。
日本語とは、かくなるものか…と教えられる。
恋する心の美しさ、哀しさ、身に沁みます。
例えるなら、漱石の「夢十夜」のような静謐さが漂い、今後 何十年後にも、読み継がれている作品であって欲しいと思います。
上手く表現できませんが、良い本に巡り合えて幸いです。
この作品を携えて、鎌倉の地を歩いてみたくなりました。
ネットやケータイ、そういった類のモノが一切ない、そこが一番のお気に入りデス。
白秋 (講談社文庫)伊集院 静
ネックレス
他のレビュアーも書いていますが、本書の印象を一言で表すなら「美」だと思います。
本書に出てくる生け花からもその印象が助長されていると思えますが、文体そのものも非常に美しいものです。
もし本書を映画化するなら主人公は一体誰が演じるのだろうか?などと考えながら読んでしまいました。
芸術作品
私は中2の時にこの小説を初めて読みました。
当時読書にあまり興味のなかった自分は好きなミュージシャンがこの本を気にいっているということで読みましたが、あまりの美しさに衝撃を受けた覚えがあります。
まるで水彩画のような作品です。
以後、読書が好きになった私は様々な本を読みますが、今でもこの本を1番気にいっています。
私はまだ高校生なので周りには流行りの本を好む子が多く、この本を紹介してもあまり興味を持ってくれません。
このレビューを見たらぜひ読んで頂けたら嬉しいです(^^)鎌倉を、この本を携えて
鎌倉を舞台に、若き男女の恋を軸に描かれた話。
老若男女 問わず、誰をも受け入れてくれる作品。
無駄がない。
日本語とは、かくなるものか…と教えられる。
恋する心の美しさ、哀しさ、身に沁みます。
例えるなら、漱石の「夢十夜」のような静謐さが漂い、今後 何十年後にも、読み継がれている作品であって欲しいと思います。
上手く表現できませんが、良い本に巡り合えて幸いです。
この作品を携えて、鎌倉の地を歩いてみたくなりました。
ネットやケータイ、そういった類のモノが一切ない、そこが一番のお気に入りデス。
白秋 (講談社文庫)伊集院 静
ネックレス
親近感のある話題の娯楽
2010.10.03 Sunday
酷評が多いですが・・・
本の粗筋は割愛させていただきます。
酷評が目立ちますが私は素直に楽しめました。
私自身、現在秋採用に懸けて就活していることもあり共感できる部分が数多くありました。
確かにこんなにシューカツは甘くない、とは思いました。
しかし本書はあくまでフィクション小説であり娯楽です。
就職活動の参考書ではありません。
そういう意味では、本書に実用性や確実性まで求める必要はないと思います。
就活を経験する者なら誰でも味わう焦燥感や敗北感、現代の就活の形などとても上手に描写していると思います。
綿密な取材をされているのでしょうね。
著者は現在就活しているわけではないのによく分かるな、と素直に思いました。
説明会や面接に向かう電車の車内でいつも読んでいましたが、かなり元気づけられましたね。
現実味があるところとないところ両面あったことが逆に良かったのだと思います。
このテンポの良さに救われたところがありますから。
これが今の就活事情を忠実に書き表している著書だったら、小説として楽しむどころか苦しくて読んでいられませんでしたね。
ただ石田氏の著書にしては軽すぎるな、という印象も受けました。
大学生活の描写がない、こんなシューカツチーム誰もやらねぇよ、マスコミ業界はもっともっと厳しい!!などなどつっこみどころも満載ですが、ちゃんとシューカツの実情や厳しい面にも触れています。
これから就活を始める人にも、終わってほっとしている人にも、親近感のある話題の娯楽として楽しんでもらいたいです。
ん・・・・!?
私は高卒で地元の中小企業に就職したので『世間一般でいう就活とは、こういうものなんだな?』と感じ、そういう意味ではそれなりに楽しめました。
でも、小説としては面白いとは思わないし、飛ばし読みした部分も多かったです。
最後、主人公がどちらの会社を選ぶのか楽しみだったのに、『ここまで読んでくれたあなたに決定してもらいたい』とは、何だか肩すかしをくらったようでバカバカしかったです。
好きな作家なのですが
最近の就職活動はこういう感じなのか、とは感じました。
直木賞受賞作から、青春群像劇は得意だと思ったのですが、人物造形が薄く小説としては今一つ。
気楽に読み流す、暇つぶしなら向いているかもしれません。
シューカツ!石田 衣良
ブラウス
本の粗筋は割愛させていただきます。
酷評が目立ちますが私は素直に楽しめました。
私自身、現在秋採用に懸けて就活していることもあり共感できる部分が数多くありました。
確かにこんなにシューカツは甘くない、とは思いました。
しかし本書はあくまでフィクション小説であり娯楽です。
就職活動の参考書ではありません。
そういう意味では、本書に実用性や確実性まで求める必要はないと思います。
就活を経験する者なら誰でも味わう焦燥感や敗北感、現代の就活の形などとても上手に描写していると思います。
綿密な取材をされているのでしょうね。
著者は現在就活しているわけではないのによく分かるな、と素直に思いました。
説明会や面接に向かう電車の車内でいつも読んでいましたが、かなり元気づけられましたね。
現実味があるところとないところ両面あったことが逆に良かったのだと思います。
このテンポの良さに救われたところがありますから。
これが今の就活事情を忠実に書き表している著書だったら、小説として楽しむどころか苦しくて読んでいられませんでしたね。
ただ石田氏の著書にしては軽すぎるな、という印象も受けました。
大学生活の描写がない、こんなシューカツチーム誰もやらねぇよ、マスコミ業界はもっともっと厳しい!!などなどつっこみどころも満載ですが、ちゃんとシューカツの実情や厳しい面にも触れています。
これから就活を始める人にも、終わってほっとしている人にも、親近感のある話題の娯楽として楽しんでもらいたいです。
ん・・・・!?
私は高卒で地元の中小企業に就職したので『世間一般でいう就活とは、こういうものなんだな?』と感じ、そういう意味ではそれなりに楽しめました。
でも、小説としては面白いとは思わないし、飛ばし読みした部分も多かったです。
最後、主人公がどちらの会社を選ぶのか楽しみだったのに、『ここまで読んでくれたあなたに決定してもらいたい』とは、何だか肩すかしをくらったようでバカバカしかったです。
好きな作家なのですが
最近の就職活動はこういう感じなのか、とは感じました。
直木賞受賞作から、青春群像劇は得意だと思ったのですが、人物造形が薄く小説としては今一つ。
気楽に読み流す、暇つぶしなら向いているかもしれません。
シューカツ!石田 衣良
ブラウス
これはマイナーな作家や学者では不可能
2010.10.03 Sunday
メジャー作家ならではの靖国論
靖国神社論としては実に浅い。
首相の公式参拝についての論も、ある程度の知識がある人にとっては、何度も聞いた事のあるありふれたものばかりだ。
靖国論としては、どこかの著書を引用したような平凡なものばかりだ。
漫画ではあるが、小林よしのりの「靖国論」の方が深い気がする。
活字で靖国神社や、A級戦犯について論を展開するなら、もっと掘り下げられるはずである。
一方、物語としても浅い。
英霊として祀られている主人公を通し、大東亜戦争の意味や、戦後の日本の繁栄と堕落を描いているが、タイムスリップという設定が陳腐すぎるし、恋人との交流も中途半端にしか書かれていない。
大東亜戦争を生き抜いた軍人を通して戦後の日本を振り返るという物語なら、福井晴敏の「終戦のローレライ」の方がはるかに重厚で面白い。
せっかくの重厚なテーマなのに、結局、浅見光彦シリーズと同じようなアッサリ読める軽い作品になっているのが残念だ。
歴史物としても、SFとしても、恋愛物としても、全て中途半端。
色んな要素を少しずつ盛り込んでいるだけ。
数十年に渡って読み続けられるような作品ではない。
ただ、この作品が出て良かったと思える点が一つある。
一般人、特に女性で、靖国神社や、A級戦犯について、正しく理解している人は非常に少ない。
左翼系マスコミによって植えつけられた「軍国主義的なもの」という負のイメージを漠然ともっている人がほとんどだろう。
その人達に、内田はキッカケを与えた。
内田康夫という、多くの女性読者に支持されているメジャー作家が、靖国問題を取り上げた。
この意味と効果は非常に大きい。
靖国神社について、全く知識のなかった人や、誤った負のイメージを持っていた人に、この問題について考えるきっかけを与えたという意味での貢献度は大きい。
これはマイナーな作家や学者では不可能だ。
大新聞やテレビ局が、靖国神社を軍国主義の象徴にように報道し、中国や韓国の主張をそのまま垂れ流している中、メジャー作家である内田がそれに疑義を呈した事の効果は大きいはずだ。
そこだけは大いに評価したい。
どんな正論であろうが、マイナー作家が何を書いても一般国民には届かない。
靖国問題って本当は何なのだろうか
2時間ドラマではいつも拝見しているけれど、書物として読むのは何年ぶり・・・の内田作品。
22歳の武者滋はB29を迎撃、2機撃墜するが被弾し墜落・・・するはずが、現代の厚木基地にタイムスリップしてしまう。
靖国神社に奉られている本人の気持ちが、現実に語られることは無い。
だからこそ、小説という形の中で、戦争で散っていった尊い命を、どう考えていったらいいのかを、そして毎年夏になると取りざたされる首相や閣僚の参拝問題は、いったい何を見て、何を見ていないのかを、滋の言葉で、残された人々の言葉で語らせている。
「死んだら靖国で会おう」それが当時の兵士達の唯一の心の拠りどころだったなんて、純粋すぎて、哀しすぎて、涙が止まらなかった。
私の娘も滋と同じ22歳、戦争中で無く、平和な時代に生まれたことを幸せに思わずにはいられない。
そして、2度と、戦争はおこしてはならないと強く思った。
涙無しでは読めない。
本書は靖国神社を題材にしたフィクションで、戦時中の航空隊員が現代へタイムスリップするという設定で描かれています。
ストーリー自体はある程度先が読めてしまって残念でした。
しかしおそらく本書の持つ意味は、その物語の面白さというよりは現在の靖国神社が抱える問題を率直に表したところにあるのでしょう。
そしてそれを「内田康夫」という多くの人間が認めるベストセラー作家が書いたところに意味があるのでしょう。
内田氏が本書を出すことによって、これまで靖国問題に関心を持ってこなかった、あるいは関心の薄かった方たちに少しでもこの問題への興味を促すことが出来たとしたら、本書は「物語」の意味を大きく飛び越える役割を果たしたことになります。
靖国神社に祀られている当事者の気持ちを僕達は聞くことが出来ません。
そしてまた、世間一般で語られている靖国論議は当事者の方々の気持ちを全く置き去りにしたものばかりであることも事実です。
基本的に本書で語られる靖国論は「靖国神社に祀られている当事者の立場に立った」と仮定しての靖国擁護論であると思いますが、きちんとその他の反対意見の記述もあります。
それによって、立場の違いによる主張の違いもあるんだということを提示しているのには好感が持てました。
靖国論だけではなく戦前と戦後を比較した魂の荒廃を憂いているような記述もちらほらあって考えさせられました。
現代の若者にこそ読んで欲しい書ではないでしょうか。
靖国への帰還内田 康夫
チュニック
靖国神社論としては実に浅い。
首相の公式参拝についての論も、ある程度の知識がある人にとっては、何度も聞いた事のあるありふれたものばかりだ。
靖国論としては、どこかの著書を引用したような平凡なものばかりだ。
漫画ではあるが、小林よしのりの「靖国論」の方が深い気がする。
活字で靖国神社や、A級戦犯について論を展開するなら、もっと掘り下げられるはずである。
一方、物語としても浅い。
英霊として祀られている主人公を通し、大東亜戦争の意味や、戦後の日本の繁栄と堕落を描いているが、タイムスリップという設定が陳腐すぎるし、恋人との交流も中途半端にしか書かれていない。
大東亜戦争を生き抜いた軍人を通して戦後の日本を振り返るという物語なら、福井晴敏の「終戦のローレライ」の方がはるかに重厚で面白い。
せっかくの重厚なテーマなのに、結局、浅見光彦シリーズと同じようなアッサリ読める軽い作品になっているのが残念だ。
歴史物としても、SFとしても、恋愛物としても、全て中途半端。
色んな要素を少しずつ盛り込んでいるだけ。
数十年に渡って読み続けられるような作品ではない。
ただ、この作品が出て良かったと思える点が一つある。
一般人、特に女性で、靖国神社や、A級戦犯について、正しく理解している人は非常に少ない。
左翼系マスコミによって植えつけられた「軍国主義的なもの」という負のイメージを漠然ともっている人がほとんどだろう。
その人達に、内田はキッカケを与えた。
内田康夫という、多くの女性読者に支持されているメジャー作家が、靖国問題を取り上げた。
この意味と効果は非常に大きい。
靖国神社について、全く知識のなかった人や、誤った負のイメージを持っていた人に、この問題について考えるきっかけを与えたという意味での貢献度は大きい。
これはマイナーな作家や学者では不可能だ。
大新聞やテレビ局が、靖国神社を軍国主義の象徴にように報道し、中国や韓国の主張をそのまま垂れ流している中、メジャー作家である内田がそれに疑義を呈した事の効果は大きいはずだ。
そこだけは大いに評価したい。
どんな正論であろうが、マイナー作家が何を書いても一般国民には届かない。
靖国問題って本当は何なのだろうか
2時間ドラマではいつも拝見しているけれど、書物として読むのは何年ぶり・・・の内田作品。
22歳の武者滋はB29を迎撃、2機撃墜するが被弾し墜落・・・するはずが、現代の厚木基地にタイムスリップしてしまう。
靖国神社に奉られている本人の気持ちが、現実に語られることは無い。
だからこそ、小説という形の中で、戦争で散っていった尊い命を、どう考えていったらいいのかを、そして毎年夏になると取りざたされる首相や閣僚の参拝問題は、いったい何を見て、何を見ていないのかを、滋の言葉で、残された人々の言葉で語らせている。
「死んだら靖国で会おう」それが当時の兵士達の唯一の心の拠りどころだったなんて、純粋すぎて、哀しすぎて、涙が止まらなかった。
私の娘も滋と同じ22歳、戦争中で無く、平和な時代に生まれたことを幸せに思わずにはいられない。
そして、2度と、戦争はおこしてはならないと強く思った。
涙無しでは読めない。
本書は靖国神社を題材にしたフィクションで、戦時中の航空隊員が現代へタイムスリップするという設定で描かれています。
ストーリー自体はある程度先が読めてしまって残念でした。
しかしおそらく本書の持つ意味は、その物語の面白さというよりは現在の靖国神社が抱える問題を率直に表したところにあるのでしょう。
そしてそれを「内田康夫」という多くの人間が認めるベストセラー作家が書いたところに意味があるのでしょう。
内田氏が本書を出すことによって、これまで靖国問題に関心を持ってこなかった、あるいは関心の薄かった方たちに少しでもこの問題への興味を促すことが出来たとしたら、本書は「物語」の意味を大きく飛び越える役割を果たしたことになります。
靖国神社に祀られている当事者の気持ちを僕達は聞くことが出来ません。
そしてまた、世間一般で語られている靖国論議は当事者の方々の気持ちを全く置き去りにしたものばかりであることも事実です。
基本的に本書で語られる靖国論は「靖国神社に祀られている当事者の立場に立った」と仮定しての靖国擁護論であると思いますが、きちんとその他の反対意見の記述もあります。
それによって、立場の違いによる主張の違いもあるんだということを提示しているのには好感が持てました。
靖国論だけではなく戦前と戦後を比較した魂の荒廃を憂いているような記述もちらほらあって考えさせられました。
現代の若者にこそ読んで欲しい書ではないでしょうか。
靖国への帰還内田 康夫
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