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大切なのは、信じること、与えること
「恋」と「愛」を描き分けた心温まる恋愛小説
主人公の木の葉と幼馴染のアラシは出会いと別れを繰り返しながらも導かれるように2人は結びついていく。童話に込められたアラシのメッセージを紐解くように遠回りをしながら愛を模索していく主人公の姿に胸を打たれます。

感動
年齢に関係なく、たとえ未熟な恋愛でも、本気で恋したことある人なら、心に染みると思います。私は、心の奥、在りし日の恋愛の思い出にずっぽりはまりました。愛した人はいつも、心にいるんです。

大切なのは、信じること、与えること
中学生時代のアラシから子の葉への「空飛ぶ魂の粒子」の物語から始まり、アラシの自信作の小説『ある放浪』、
ふたりの童話『猫と旅人』へと物語りは語り継がれます。
その物語と共に歩むふたりの物語も時には交わり、時には離れます。
そして、どちらの物語も子の葉がアラシの物語に望んだように、最後に希望の見えてくる話として終わります。

人生にも愛することにも疲れ、何も自分さえも信じられず、希望を失い、悲しみだけを抱えて、
絶望の淵にいるあなたへの物語。
空と海のであう場所 (ポプラ文庫) 小手鞠 るい

こども服
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明るく生きる姿が清々しい
青臭さ
在日韓国人である主人公による葛藤、恋愛、友情…。国と国から個と個へと話が展開されています。疾走感と共に青臭さのある内容となっています。

「いつか、俺が国境線を消してやるよ」

『いつか俺が国境線をなくしてやる』
生き生きとして躍動感のある文章が気持ちいい。
デビュー作とは思えないクオリティの高さ。
《在日》の人に対する日本人の偏見と差別。
それにガチで勝負する杉原少年の
たくましさと危うさに魅かれる。

日本人も、朝鮮人も、韓国人も、アメリカ人さえも
先祖の先祖のずっと先をたどっていけば同じ種だったんだよね。
それが一番言いたかったことなのではないか?
そしてそれをみんな忘れてる。
私も忘れてた。恥ずかしい‥

『いつか俺が国境線を無くしてやる』
杉原少年の言葉が心に響く。

『GO』というタイトルの意味、本の表紙裏のイタリア語の文、
冒頭のシェイクスピアの言葉、‥すべてが心にくい隠し味になっている。

爽快な作品。00'直木賞受賞作。

つよくやさしく生きるには。。。
なかなか小気味良い青春小説でした。

在日韓国人の少年の話しで、世の中の偏見に負けず明るく生きる姿が清々しいと思いました。


GO 金城 一紀
マークバイマークジェイコブス
敗北を抱きしめて
素直に物語として読み解き、キャラクターへの感情移入を求めるのであれば、
あいにくながらこの小説は半ば破綻を来しているように、個人的には思われる。
江藤淳に指摘されるまでもなく主題は明白、すなわち、戦後日本における
アメリカ的なものの浸潤に伴う前近代的な家父長制、パターナリズムの終焉と変質。
「僕たちが外国から受け入れたものは、矛盾をうんでいる。その皺よせは家の中へくるさ」。
主人公のこの語りこそがまさにこの小説を象徴する。
それを意識してストーリーに仮託された寓意を読み解いていけば、無茶苦茶にも
見える描写は一転、極めて巧みな相を現すこととなる。

「三輪俊介はいつものように思った。家政婦のみちよが来るようになってから
この家は汚れはじめた、と。そして最近とくに汚れている、と」。
旧態依然とした「家」を求める主人公にとって、近代的な意識の侵入はすべて「汚れ」と
みなされる。そしてまた、「家」の瓦解は彼自身の人格の瓦解を意味する。
「家の中をたてなおさなければならない」。
こうして主人公は例えば外と内とを隔絶する「塀」を画策するも、一度「汚れ」に
支配された「家」がもとの姿を回復することなどもはやあり得ない。
かといって、自らになじまぬ「シキタリ」に適応できるはずもなく、こうして
彼も徐々にその苦悩と狂いを深め、そんな中、病魔が妻を襲い……

ほぼ同時代の小説として参照されるべき一冊に三島由紀夫『絹と明察』がある。
「近代」とパターナリズムという共通の主題を持ちつつも、いかにもミシマ的な感性から
切り込まれており、これもまた、名作。

前衛でもあった小島信夫
小島信夫が亡くなった。近年、保坂和志のエッセイなどで高く評価されていたこともあって、この大作家の真価が随分と知られるようになったようだ。当方も保坂の文章に触れなかったら、改めて読み直すこともなかった。戦後の作家では、三島、安部、大江がトップランナーとされていたが、いずれもどこかで読んだような作品が多い。特に前衛と言われた安部公房の作品は『箱舟さくら丸』など晩年の長編に顕著な作り物めいた、安手のSF風がちっとも世界文学ではなかったことに思い至る。『抱擁家族』は違う。何かもやもやとしたものが、読後も後をひく。「カフカ的不安」とはまさにこの作品にこそ相応しい。漂うような、しかも視点が散漫に見える「文学ぽく」ない文体が、一見少しも知的なイメージを与えない。しかし、これこそが小説だという保坂の指摘は誠に慧眼である(『カンバセーション・ピース』はこの域にまで達していない)。遺作の『残光』では、小島自身の日常が創作活動との間で揺曳しているような作風であるが、これには少しついていくのがしんどい。

60年代半ばの、社会の急激な変化への憂いと諦め
日本のアメリカ化が本格に進み始めた戦後10~20年の時期の、日本社会が崩壊・変形していく姿を、一家庭の壊れていく姿を通して、象徴的に描いているのが本書ではないでしょうか。その暴力的ともいえる変化の要請は、家庭に入りこんでくる米兵ジョージ(情事?)の存在、最新式の欧米風住宅を建てる、などのプロットを通して表現されていきます。主人公のなすすべもなく押し流されていく様子と、したたかに適応して生きていく子供たちの姿が、時代の変化をなにより雄弁に語っているように思いました。
1960年代半ばの、社会の急激な変化への憂いと諦めがこの小説の底に流れているように思います。その意味できわめて同時代的な小説なのでしょう。今読むと若干鮮度は低いです。21世紀には多分書かれない文章なのではないでしょうか? なぜなら現代には現代の問題が存在するからです。それでもあえて今日的な意義を見出すとするなら、本書はわれわれが抱える近代化のもたらした問題の発露を予見していたということになるでしょうか。


抱擁家族 (講談社文芸文庫) 小島 信夫

ジミーチュウ
ファンタジーらしさと、現実さと。
21世紀の古書目録。興味があります。
本当にあればの話ですけれど。

私たちからすれば、21世紀最初の本、は「一番最初に出会う本」だけど、この目録では「一番古い本」なのだと分かっていても不思議な世界です。

こういう本を作ろうっていう気持ち、実際作り上げるその発想ってすごいなあって思います。
本だから「読む」ものだけど、眺めていても面白い本ですね。

どうせなら、22世紀の古書目録も作って欲しいな。期待を裏切りません。この本は。

「本を造る」ことの喜びが
やや手軽すぎるきらいはあるものの、
発想や架空本のデザインやレイアウトなど
センスが無いとは誰も言い切れないだろう。

真の本好きといえるほどの骨太さは無いが
「本を造る」ことの喜びがどのページにも溢れている。

洒落を真剣に追求してみた本
この本は未来から送られてくる(実はこのレビューを書いている時点ですでに未来の範疇に入っています)本の目録です。
そこに出てくる本はレトロで個性的で愛らしい本ばかりです。
ここに載せられている本がこれからほんとうに手にとって読めるとしたら。
本好きにはたまらない夢だと思います。
どんなにオンライン小説が出回ろうとも、本はなくなりません。
それを少しでも信じさせてくれそうな気がする一冊です。

らくだこぶ書房21世紀古書目録 クラフト・エヴィング商會

マニキュア
悲惨な状況を救わねばならない
本書冒頭のツポレフ機の描写を見て、1995年一人で訪朝した時の事を思い出した。
この年、参議院議員だった、アントニオ猪木は、尊敬する力道山出生の地である
北朝鮮で、「世界スポーツ平和祭典」と銘打ちプロレス興行を行った。

これにあわせて、名古屋から、チャーター機が飛んだ。
名古屋、小牧空港に駐機した高麗航空機は、近づくと、塗料の塗りがでこぼこで、
ロゴの機体名は歪んでいた。

中の椅子はジュラルミンではなくて鉄でできていた。丈夫そうだが重いだろう。
プレミアムの席料を払ったのに、前にあるだけで、他の席と変わりはない。
男の客室乗務員が、機内食を投げつけるようにして、配った。
甘味だけ食べたが甘くなかった。

客は、プロレスファン、社会主義に興味があるという元中学の社会科教師夫婦、
親戚訪問もかねて帰国する在日同胞、僕のような朝鮮オタク。後は得体の知れない人々。

平壌順安空港に着くと、乗客のおばちゃんがパチカメで空港を撮りだしたので、僕は
慌てて止めたが、AK47カラシニコフを携帯する兵士は何の制止もしない。
おばちゃんの方が正しかった。でも、僕は、手違いで持ってきてしまった携帯電話を取り上げられた。

あれから、15年、脱北するひとは絶えない。この小説は、大量の資料に当たり
脱北しなければならない人々の事情、そしてその、想像を絶する過酷さを余す事なく描いている。

脱北者の環境はどんどん悪化している
本書冒頭のツポレフ機の描写を見て、1995年一人で訪朝した時の事を思い出した。
この年、参議院議員だった、アントニオ猪木は、尊敬する力道山出生の地である
北朝鮮で、「世界スポーツ平和祭典」と銘打ちプロレス興行を行った。

これにあわせて、名古屋から、チャーター機が飛んだ。
ツアー料金25万円、プレミアの席代2万円、プロレスのリングサイド席の指定料金
7千円を中外旅行社に振り込み機上の人となる。

名古屋、小牧空港に駐機した高麗航空機は、近づくと、塗料の塗りがでこぼこで、
ロゴの機体名は歪んでいた。

中の椅子はジュラルミンではなくて鉄でできていた。丈夫そうだが重いだろう。
プレミアムの席料を払ったのに、前にあるだけで、他の席と変わりはない。
男の客室乗務員が、機内食を投げつけるようにして、配った。
甘味だけ食べたが甘くなかった。

客は、プロレスファン、社会主義に興味があるという元中学の社会科教師夫婦、
親戚訪問もかねて帰国する在日同胞、僕のような朝鮮オタク。後は得体の知れない人々。

平壌順安空港に着くと、乗客のおばちゃんがパチカメで空港を撮りだしたので、僕は
慌てて止めたが、AK47カラシニコフを携帯する兵士は何の制止もしない。
おばちゃんの方が正しかった。でも、僕は、手違いで持ってきてしまった携帯電話を取り上げられた。

あれから、15年、脱北するひとは絶えない。この小説は、大量の資料に当たり
脱北しなければならない人々の事情、そしてその、想像を絶する過酷さを余す事なく描いている。

北朝鮮のリアルな実情と≪疫病神≫コンビのシノギとのマッチング
建設コンサルタント二宮と暴力団「二蝶会」の桑原が再びコンビで登場する『疫病神』の続編。今回は“知られざる隣国”北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の実態を描いた大作である。物語は前作よりストレートで、詐欺師を追いかけ、≪疫病神≫コンビが北朝鮮へ潜入するというもの。

一回目は奈良県日朝友好議員連盟主催のチャーター便でパックツアーとして平壌へ。不自由な旅行日程の隙間を抜け出し、もう一歩というところで逃げられる。そして二回目。今度は金にものをいわせて中国朝鮮族自治区から北部北朝鮮に不法入国する。さんざんな目にあいながらも詐欺師を捕まえることに成功したふたりだったが、命からがら北朝鮮から出国し、詐欺師の日本の黒幕に迫る。

とまあストーリーは単純だが、小泉訪朝前の北朝鮮の実態は、巻末の膨大な参考文献からもうかがえるように実にリアルだ。それが、ノンフィクションやルポルタージュでなく、またお堅い社会派小説とか、スパイ・冒険小説でなく、ハードボイルドというかノワールというか極道エンターテインメント小説のなかに、≪疫病神≫コンビの行動範囲としてあたりまえのように、しかし精緻に描かれているところに意味があると思う。

それにしても、北朝鮮というのは何という国家なのだろう。作品中の桑原の言葉の数々から分かるように思わず眉をひそめたくなる。

この北朝鮮という特殊な舞台で、前作ほど強烈なドツキ、ドツカレはないものの、≪疫病神≫コンビの絶妙なコンビネーションは、個性豊かな脇役陣も手伝って、時には笑いをかみ殺し、時にはハラハラ・ドキドキして、文庫にして831ページにもなる大長編なのに、休むことなくページを捲らせてくれる。


国境 (講談社文庫) 黒川 博行


エミリオプッチ
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