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「想像力」に脱帽
2010.10.15 Friday
やっぱり物足りないかなあという感じ
桐野夏生さんの作品は、
村野ミロのシリーズや、「OUT」など、
長編は、いくつか読んでいるのですが
短編集は恐らく初めてです。
「アンボス・ムンドス」には
7編入っているのですが、
私としては、表題の「アンボス・ムンドス」よりも
前半の4編、「植林」「ルビー」「怪物たちの夜会」
「愛ランド」の方が印象に残りました。
桐野夏生さんらしい、という感じでしょうか。
この短編集について、ネットで感想を見てみると
皆さん、決まったように、女性の「毒」といった言葉を
使われてる方が多いのですが、
私は、感覚が鈍いのか、読みなれてるのか
それほどは感じなかったです。
自分にとって衝撃的だったというか
印象深い桐野夏生作品は
映画化もされた「OUT」と、もうひとつ、
タイトルは忘れてしまいましたが
村野ミロの人間関係が全部壊れて、
シリーズ最後かと思われる作品。
それらに比べれば、
やっぱり物足りないかなあという感じ。
無意識のうちに、桐野夏生さんには、
重い長編を期待しているのかも知れません。
桐野さんの「想像力」に脱帽
「愛ランド」では、地味で中年の独身女性、鶴子が自分の性体験を告白する。それは結構突拍子もない話で、さまざまな年齢の女がある島に連れられ、その島で女たちは男どもに競り落とされるというもの。鶴子も男たちから競り落とされ、思いっきりいたぶられるがそれが快感で止められないという話。
地味な40代の自分を奴隷として性の対象としてみてくれることに渇望感があり、それを満たしてもらえる喜びが鶴子にはたまらないのだろう。今まで見向きもされずに生きていただけに、自分のためにお金を払ってまでチヤホヤしてくれていることに恍惚するのだろう。
美人で才女の桐野さんの「想像力」に脱帽してしまった1冊だ。
短編でもすごすぎる、桐野ワールド
「グロテスク」以来、あまりにバイオレントなパワーに臆していたが、短編集ならと久しぶりに手にとった。一作ごとの完成度が高く、「読んだ」というずしりとした手ごたえを感じた。しかし、読後感はあまりよくなかった。世界はこんなに悪意や敵意に満ちた場所だったろうか? 女とはかくも残酷で邪悪だったろうか? とくに、見ず知らずの子どもに恐怖を植えつける「植林」や、毒草ばかり植えて義父への恨みを募らせる娘が、義父ともども突然殺されてしまう「毒童」はすごい、うまい、だけど救いがない! 疲れてしまった。「小説を書くのは悪人でなければならない」「表現することは闘うこと」という桐野さんの文章に、悪人になって闘う彼女自身が投影されているように感じた。
アンボス・ムンドス―ふたつの世界 (文春文庫) 桐野 夏生
チャムス
桐野夏生さんの作品は、
村野ミロのシリーズや、「OUT」など、
長編は、いくつか読んでいるのですが
短編集は恐らく初めてです。
「アンボス・ムンドス」には
7編入っているのですが、
私としては、表題の「アンボス・ムンドス」よりも
前半の4編、「植林」「ルビー」「怪物たちの夜会」
「愛ランド」の方が印象に残りました。
桐野夏生さんらしい、という感じでしょうか。
この短編集について、ネットで感想を見てみると
皆さん、決まったように、女性の「毒」といった言葉を
使われてる方が多いのですが、
私は、感覚が鈍いのか、読みなれてるのか
それほどは感じなかったです。
自分にとって衝撃的だったというか
印象深い桐野夏生作品は
映画化もされた「OUT」と、もうひとつ、
タイトルは忘れてしまいましたが
村野ミロの人間関係が全部壊れて、
シリーズ最後かと思われる作品。
それらに比べれば、
やっぱり物足りないかなあという感じ。
無意識のうちに、桐野夏生さんには、
重い長編を期待しているのかも知れません。
桐野さんの「想像力」に脱帽
「愛ランド」では、地味で中年の独身女性、鶴子が自分の性体験を告白する。それは結構突拍子もない話で、さまざまな年齢の女がある島に連れられ、その島で女たちは男どもに競り落とされるというもの。鶴子も男たちから競り落とされ、思いっきりいたぶられるがそれが快感で止められないという話。
地味な40代の自分を奴隷として性の対象としてみてくれることに渇望感があり、それを満たしてもらえる喜びが鶴子にはたまらないのだろう。今まで見向きもされずに生きていただけに、自分のためにお金を払ってまでチヤホヤしてくれていることに恍惚するのだろう。
美人で才女の桐野さんの「想像力」に脱帽してしまった1冊だ。
短編でもすごすぎる、桐野ワールド
「グロテスク」以来、あまりにバイオレントなパワーに臆していたが、短編集ならと久しぶりに手にとった。一作ごとの完成度が高く、「読んだ」というずしりとした手ごたえを感じた。しかし、読後感はあまりよくなかった。世界はこんなに悪意や敵意に満ちた場所だったろうか? 女とはかくも残酷で邪悪だったろうか? とくに、見ず知らずの子どもに恐怖を植えつける「植林」や、毒草ばかり植えて義父への恨みを募らせる娘が、義父ともども突然殺されてしまう「毒童」はすごい、うまい、だけど救いがない! 疲れてしまった。「小説を書くのは悪人でなければならない」「表現することは闘うこと」という桐野さんの文章に、悪人になって闘う彼女自身が投影されているように感じた。
アンボス・ムンドス―ふたつの世界 (文春文庫) 桐野 夏生
チャムス
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光やイルミネーションを巧みに使った
2010.10.14 Thursday
少し物足りなかったです!
一番好きな作家、小池真理子さんの短編集
光やイルミネーションを巧みに使った6つの作品から成り立っています。
読んでいる間はその物語や文章の美しさ、心象風景の素晴らしさに引き込まれて行くのですが、読み終えた後であまり記憶に残らないのは…?
昔、時間を忘れて読み耽った様な小池真理子特有の心理サスペンスやホラーが再び読んでみたいです
等身大の小池氏
中年女性の揺れる心を描かせたらこの人の右に出る人はいないと、私は思っていますが、本書は作家・小池真理子の今がまさしく描かれているようで、小説でありながら小池氏の人生観がにじみ出た本でした。6篇すべての恋が不倫であり、先の見えないなかから「老い」「死」「別れ」が見え隠れします。光やイルミネーションを巧みに使った心理描写は見事ですが、初期作品に見られるような、「自分」を突き放したところで描く「小説」らしい「小説」が読みたいです。
最後に収められた「ミーシャ」は愛猫の死をきっかけに、若い男性との愛の終わりを描いたものですが、まさしく小池氏の生活そのもので、小説に向かう氏の生みの苦しみを見たような気がしました。
水底の光 (文春文庫) 小池 真理子
レインブーツ
一番好きな作家、小池真理子さんの短編集
光やイルミネーションを巧みに使った6つの作品から成り立っています。
読んでいる間はその物語や文章の美しさ、心象風景の素晴らしさに引き込まれて行くのですが、読み終えた後であまり記憶に残らないのは…?
昔、時間を忘れて読み耽った様な小池真理子特有の心理サスペンスやホラーが再び読んでみたいです
等身大の小池氏
中年女性の揺れる心を描かせたらこの人の右に出る人はいないと、私は思っていますが、本書は作家・小池真理子の今がまさしく描かれているようで、小説でありながら小池氏の人生観がにじみ出た本でした。6篇すべての恋が不倫であり、先の見えないなかから「老い」「死」「別れ」が見え隠れします。光やイルミネーションを巧みに使った心理描写は見事ですが、初期作品に見られるような、「自分」を突き放したところで描く「小説」らしい「小説」が読みたいです。
最後に収められた「ミーシャ」は愛猫の死をきっかけに、若い男性との愛の終わりを描いたものですが、まさしく小池氏の生活そのもので、小説に向かう氏の生みの苦しみを見たような気がしました。
水底の光 (文春文庫) 小池 真理子
レインブーツ
ハラハラと涙が流れた
2010.10.13 Wednesday
漱石の悲しみ小林信彦さんの哀しみ
小林さんは、おそらく、紋切りや、予定調和、流行に乗ることや、多数意見に賛同すること
通俗的解釈に対して、恥の感情を持っている作家であろう。
それを承知であえていうと、これは、主人公を、坊ちゃんから、うらなりに代えた
スピンオフ小説で、『坊ちゃん』が、痛快青春小説だとする説に異を唱え
『ドーランの下に涙の喜劇人』的な小説であると解釈した上で書かれた小説である。
上記は、もちろん僕の拙い解釈で、これですべてが語れているとは思わないで欲しい。
ぼくは、この小説を読んで、ハラハラと涙が流れたけれども、涙が流せるのは、
男で、しかも、年寄りで、しかも未練がましい、やつだけかも知れない。
なお、ひとつだけ、僕が、この本で傷があると思ったのは、後半に添えられた
「創作ノート」の中で、坊ちゃんを「B型ヒーロー」だと、断じるところである。
血液型の判断は、座興ならまだしも、この本にはそぐわない
漱石の悲しみ、小林信彦さんの哀しみ
小林さんは、おそらく、紋切りや、予定調和、流行に乗ることや、多数意見に賛同すること
通俗的解釈に対して、恥の感情を持っている作家であろう。
それを承知であえていうと、これは、主人公を、坊ちゃんから、うらなりに代えた
スピンオフ小説で、『坊ちゃん』が、痛快青春小説だとする説に異を唱え
『ドーランの下に涙の喜劇人』的な小説であると解釈した上で書かれた小説である。
上記は、もちろん僕の拙い解釈で、これですべてが語れているとは思わないで欲しい。
ぼくは、この小説を読んで、ハラハラと涙が流れたけれども、涙が流せるのは、
男で、しかも、年寄りで、しかも未練がましい、やつだけかも知れない。
なお、ひとつだけ、僕が、この本で傷があると思ったのは、後半に添えられた
「創作ノート」の中で、坊ちゃんを「B型ヒーロー」だと、断じるところである。
血液型の判断は、座興ならまだしも、この本にはそぐわない
可もなく不可もなく
著名な文学の愛すべき登場人物を主人公にした作品で、文学賞を受賞したというので読んでみたが、どうということもない読後感である。原作は誰もが知っているので最初から登場人物はつかめる。あの本を異なる切り口から解いてみたらたらこうなる、という一つの例といえる。ほかの登場人物、例えば赤シャツや堀田の視点から語らせることもできよう。
昭和9年から振り返るという発想は面白い。五十台後半らしいうらなりは肝硬変で先行き長くないことが暗示されているが、堀田は戦後何歳まで生きたのだろうか、とか想像するのも楽しい。
赤シャツらが制裁を加えられる原作の結末は、昔読んだときはただ痛快と思っただけだが、考えてみれば今なら暴行傷害で刑事事件になっているところだ。維新からまだ三十数年の頃だから武家の空気がまだ残っていたのか。
ただ、新しい解釈とか驚愕の裏話があったとかの新鮮な感動はない。あくまでも地味で小心なうらなりの後半生という本である。
うらなり (文春文庫) 小林 信彦
gucci バッグ
小林さんは、おそらく、紋切りや、予定調和、流行に乗ることや、多数意見に賛同すること
通俗的解釈に対して、恥の感情を持っている作家であろう。
それを承知であえていうと、これは、主人公を、坊ちゃんから、うらなりに代えた
スピンオフ小説で、『坊ちゃん』が、痛快青春小説だとする説に異を唱え
『ドーランの下に涙の喜劇人』的な小説であると解釈した上で書かれた小説である。
上記は、もちろん僕の拙い解釈で、これですべてが語れているとは思わないで欲しい。
ぼくは、この小説を読んで、ハラハラと涙が流れたけれども、涙が流せるのは、
男で、しかも、年寄りで、しかも未練がましい、やつだけかも知れない。
なお、ひとつだけ、僕が、この本で傷があると思ったのは、後半に添えられた
「創作ノート」の中で、坊ちゃんを「B型ヒーロー」だと、断じるところである。
血液型の判断は、座興ならまだしも、この本にはそぐわない
漱石の悲しみ、小林信彦さんの哀しみ
小林さんは、おそらく、紋切りや、予定調和、流行に乗ることや、多数意見に賛同すること
通俗的解釈に対して、恥の感情を持っている作家であろう。
それを承知であえていうと、これは、主人公を、坊ちゃんから、うらなりに代えた
スピンオフ小説で、『坊ちゃん』が、痛快青春小説だとする説に異を唱え
『ドーランの下に涙の喜劇人』的な小説であると解釈した上で書かれた小説である。
上記は、もちろん僕の拙い解釈で、これですべてが語れているとは思わないで欲しい。
ぼくは、この小説を読んで、ハラハラと涙が流れたけれども、涙が流せるのは、
男で、しかも、年寄りで、しかも未練がましい、やつだけかも知れない。
なお、ひとつだけ、僕が、この本で傷があると思ったのは、後半に添えられた
「創作ノート」の中で、坊ちゃんを「B型ヒーロー」だと、断じるところである。
血液型の判断は、座興ならまだしも、この本にはそぐわない
可もなく不可もなく
著名な文学の愛すべき登場人物を主人公にした作品で、文学賞を受賞したというので読んでみたが、どうということもない読後感である。原作は誰もが知っているので最初から登場人物はつかめる。あの本を異なる切り口から解いてみたらたらこうなる、という一つの例といえる。ほかの登場人物、例えば赤シャツや堀田の視点から語らせることもできよう。
昭和9年から振り返るという発想は面白い。五十台後半らしいうらなりは肝硬変で先行き長くないことが暗示されているが、堀田は戦後何歳まで生きたのだろうか、とか想像するのも楽しい。
赤シャツらが制裁を加えられる原作の結末は、昔読んだときはただ痛快と思っただけだが、考えてみれば今なら暴行傷害で刑事事件になっているところだ。維新からまだ三十数年の頃だから武家の空気がまだ残っていたのか。
ただ、新しい解釈とか驚愕の裏話があったとかの新鮮な感動はない。あくまでも地味で小心なうらなりの後半生という本である。
うらなり (文春文庫) 小林 信彦
gucci バッグ
好きなだけでは生きていけない世界
2010.10.12 Tuesday
面白い!
ロードレーサーは知っていても、競技スポーツとしての自転車競技に馴染みのない方が多いかもしれません。
でも、そんな方でも心配はご無用です。
手に取って数ページ読めば、自転車に賭ける少年たちのピュアな世界に
どんどん引き込まれるのではないかと思います。
自転車への情熱、心の中で揺れ動くティーンエィジャーの感情。
そんなものが瑞々しく描かれています。
青春小説として面白いかったです。
少年が自転車にのめりこんでいく青春小説
自転車で走ることが大好きな少年が、あるきっかけからロードバイクに乗る少年たちと出会い、本気で自転車にのめりこんでいく青春小説で、自転車レースに詳しくない人でも分かるように描かれていたので読みやすかった。自転車仲間たちとの出会い、友情、喧嘩、自転車にかける強い意志など色々と読み応えがあり、最後まで楽しめた。本編は続きが気になるところで終わってしまったので続編にも期待したい。
中3なりの精一杯な青春小説。
自転車競技に関しては全く知識のない私ですが、それでも「メンタルが大きく関係する、奥の深い競技なんだな」という印象を受けました。
普通に生きてきた中学3年生の主人公に突然プロスポーツの世界が迫ってくる。
好きなだけでは生きていけない世界。それに戸惑う気持ちにとても共感できました。
自分の将来について考えるけれど、「自分はこれで生きていこう」と言えるほどの決断力もなくて、保護者の承認が絶対条件で・・・そんな中学生の中途半端な思いを思い出しました。
主人公は皆個性的なので、ちょっと厚めの単行本ですがあっというまに読破できます。
1年2ヶ月ぶりにやっと第2巻も出版されましたが、1巻だけでも、十分読了感は味わえます。
セカンドウィンド 1 (小学館文庫) 川西 蘭
マックスファクター
ロードレーサーは知っていても、競技スポーツとしての自転車競技に馴染みのない方が多いかもしれません。
でも、そんな方でも心配はご無用です。
手に取って数ページ読めば、自転車に賭ける少年たちのピュアな世界に
どんどん引き込まれるのではないかと思います。
自転車への情熱、心の中で揺れ動くティーンエィジャーの感情。
そんなものが瑞々しく描かれています。
青春小説として面白いかったです。
少年が自転車にのめりこんでいく青春小説
自転車で走ることが大好きな少年が、あるきっかけからロードバイクに乗る少年たちと出会い、本気で自転車にのめりこんでいく青春小説で、自転車レースに詳しくない人でも分かるように描かれていたので読みやすかった。自転車仲間たちとの出会い、友情、喧嘩、自転車にかける強い意志など色々と読み応えがあり、最後まで楽しめた。本編は続きが気になるところで終わってしまったので続編にも期待したい。
中3なりの精一杯な青春小説。
自転車競技に関しては全く知識のない私ですが、それでも「メンタルが大きく関係する、奥の深い競技なんだな」という印象を受けました。
普通に生きてきた中学3年生の主人公に突然プロスポーツの世界が迫ってくる。
好きなだけでは生きていけない世界。それに戸惑う気持ちにとても共感できました。
自分の将来について考えるけれど、「自分はこれで生きていこう」と言えるほどの決断力もなくて、保護者の承認が絶対条件で・・・そんな中学生の中途半端な思いを思い出しました。
主人公は皆個性的なので、ちょっと厚めの単行本ですがあっというまに読破できます。
1年2ヶ月ぶりにやっと第2巻も出版されましたが、1巻だけでも、十分読了感は味わえます。
セカンドウィンド 1 (小学館文庫) 川西 蘭
マックスファクター
作り物ではない迫力
2010.10.08 Friday
身を削り、命を縮める文章
車谷長吉の小説を読むのは疲れる。読むほうも金縛りに会い、真剣勝負に巻き込まれるのだから書くほうは本当に大変だろうと思う。真剣勝負は疲れるが得るものも確実に多い。作者に本当に感謝である。
印象に最も残った短編は「金輪際」でした。この最後の文だけでも立ち読みしてみたら、もう離れられなくなると思いますよ。
「児玉まで」はどこか「赤目」の習作っぽい作品で楽しい。「変」はめずらしく軽いエッセイ風だがそうは簡単にはならない、馬鹿正直な作者に共感至極。
「白黒忌」は久坂葉子という作家を読み始めるきっかけになりました。
作り物ではない迫力
車谷の作品はもう4冊目なので、少々耐性がつきました。最後の「変」を読んで、おおこれが有名な芥川賞選考委員逆恨み五寸釘事件かあ、と感じ入りました。
一人称で書かれたものに、一番迫力を感じます。こわいものみたさで読んでます。
私小説とゆう毒
著者は、「反時代的毒虫」なるものを自認しているらしい。
車谷長吉という人は、基本的に同じような話しか書かないように思う。
まるで自らの過去について言い訳を繰り返しているようで、見苦しいっちゃ見苦しい。
が、毒虫ならばそれもなっとくだ。毒虫がいくら毒を吐き出したとてただの虫になれるわけもなく、むしろ自らの罪業を重くしていくばかりなのだから。彼は鬱屈のあげく、ますます強烈な毒を吐き出してゆくことだろう。
しかも困ったことにこの毒は、麻薬のような常習性があるのだ。
ふふふふ、あなたにもおすすめするよ。
金輪際 (文春文庫) 車谷 長吉
エトロ バッグ
車谷長吉の小説を読むのは疲れる。読むほうも金縛りに会い、真剣勝負に巻き込まれるのだから書くほうは本当に大変だろうと思う。真剣勝負は疲れるが得るものも確実に多い。作者に本当に感謝である。
印象に最も残った短編は「金輪際」でした。この最後の文だけでも立ち読みしてみたら、もう離れられなくなると思いますよ。
「児玉まで」はどこか「赤目」の習作っぽい作品で楽しい。「変」はめずらしく軽いエッセイ風だがそうは簡単にはならない、馬鹿正直な作者に共感至極。
「白黒忌」は久坂葉子という作家を読み始めるきっかけになりました。
作り物ではない迫力
車谷の作品はもう4冊目なので、少々耐性がつきました。最後の「変」を読んで、おおこれが有名な芥川賞選考委員逆恨み五寸釘事件かあ、と感じ入りました。
一人称で書かれたものに、一番迫力を感じます。こわいものみたさで読んでます。
私小説とゆう毒
著者は、「反時代的毒虫」なるものを自認しているらしい。
車谷長吉という人は、基本的に同じような話しか書かないように思う。
まるで自らの過去について言い訳を繰り返しているようで、見苦しいっちゃ見苦しい。
が、毒虫ならばそれもなっとくだ。毒虫がいくら毒を吐き出したとてただの虫になれるわけもなく、むしろ自らの罪業を重くしていくばかりなのだから。彼は鬱屈のあげく、ますます強烈な毒を吐き出してゆくことだろう。
しかも困ったことにこの毒は、麻薬のような常習性があるのだ。
ふふふふ、あなたにもおすすめするよ。
金輪際 (文春文庫) 車谷 長吉
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