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まるで水彩画のような作品
日本の美
他のレビュアーも書いていますが、本書の印象を一言で表すなら「美」だと思います。

本書に出てくる生け花からもその印象が助長されていると思えますが、文体そのものも非常に美しいものです。

もし本書を映画化するなら主人公は一体誰が演じるのだろうか?などと考えながら読んでしまいました。

芸術作品
私は中2の時にこの小説を初めて読みました。

当時読書にあまり興味のなかった自分は好きなミュージシャンがこの本を気にいっているということで読みましたが、あまりの美しさに衝撃を受けた覚えがあります。

まるで水彩画のような作品です。

以後、読書が好きになった私は様々な本を読みますが、今でもこの本を1番気にいっています。

私はまだ高校生なので周りには流行りの本を好む子が多く、この本を紹介してもあまり興味を持ってくれません。

このレビューを見たらぜひ読んで頂けたら嬉しいです(^^)鎌倉を、この本を携えて
鎌倉を舞台に、若き男女の恋を軸に描かれた話。

老若男女 問わず、誰をも受け入れてくれる作品。

無駄がない。

日本語とは、かくなるものか…と教えられる。

恋する心の美しさ、哀しさ、身に沁みます。

例えるなら、漱石の「夢十夜」のような静謐さが漂い、今後 何十年後にも、読み継がれている作品であって欲しいと思います。

上手く表現できませんが、良い本に巡り合えて幸いです。

この作品を携えて、鎌倉の地を歩いてみたくなりました。

ネットやケータイ、そういった類のモノが一切ない、そこが一番のお気に入りデス。

白秋 (講談社文庫)伊集院 静

ネックレス
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親近感のある話題の娯楽
酷評が多いですが・・・
本の粗筋は割愛させていただきます。

酷評が目立ちますが私は素直に楽しめました。

私自身、現在秋採用に懸けて就活していることもあり共感できる部分が数多くありました。

確かにこんなにシューカツは甘くない、とは思いました。

しかし本書はあくまでフィクション小説であり娯楽です。

就職活動の参考書ではありません。

そういう意味では、本書に実用性や確実性まで求める必要はないと思います。

就活を経験する者なら誰でも味わう焦燥感や敗北感、現代の就活の形などとても上手に描写していると思います。

綿密な取材をされているのでしょうね。

著者は現在就活しているわけではないのによく分かるな、と素直に思いました。

説明会や面接に向かう電車の車内でいつも読んでいましたが、かなり元気づけられましたね。

現実味があるところとないところ両面あったことが逆に良かったのだと思います。

このテンポの良さに救われたところがありますから。

これが今の就活事情を忠実に書き表している著書だったら、小説として楽しむどころか苦しくて読んでいられませんでしたね。

ただ石田氏の著書にしては軽すぎるな、という印象も受けました。

大学生活の描写がない、こんなシューカツチーム誰もやらねぇよ、マスコミ業界はもっともっと厳しい!!などなどつっこみどころも満載ですが、ちゃんとシューカツの実情や厳しい面にも触れています。

これから就活を始める人にも、終わってほっとしている人にも、親近感のある話題の娯楽として楽しんでもらいたいです。

ん・・・・!?
私は高卒で地元の中小企業に就職したので『世間一般でいう就活とは、こういうものなんだな?』と感じ、そういう意味ではそれなりに楽しめました。

でも、小説としては面白いとは思わないし、飛ばし読みした部分も多かったです。

最後、主人公がどちらの会社を選ぶのか楽しみだったのに、『ここまで読んでくれたあなたに決定してもらいたい』とは、何だか肩すかしをくらったようでバカバカしかったです。

好きな作家なのですが
最近の就職活動はこういう感じなのか、とは感じました。

直木賞受賞作から、青春群像劇は得意だと思ったのですが、人物造形が薄く小説としては今一つ。

気楽に読み流す、暇つぶしなら向いているかもしれません。



シューカツ!石田 衣良

ブラウス
これはマイナーな作家や学者では不可能
メジャー作家ならではの靖国論
靖国神社論としては実に浅い。

首相の公式参拝についての論も、ある程度の知識がある人にとっては、何度も聞いた事のあるありふれたものばかりだ。

靖国論としては、どこかの著書を引用したような平凡なものばかりだ。

漫画ではあるが、小林よしのりの「靖国論」の方が深い気がする。

活字で靖国神社や、A級戦犯について論を展開するなら、もっと掘り下げられるはずである。

一方、物語としても浅い。

英霊として祀られている主人公を通し、大東亜戦争の意味や、戦後の日本の繁栄と堕落を描いているが、タイムスリップという設定が陳腐すぎるし、恋人との交流も中途半端にしか書かれていない。

大東亜戦争を生き抜いた軍人を通して戦後の日本を振り返るという物語なら、福井晴敏の「終戦のローレライ」の方がはるかに重厚で面白い。

せっかくの重厚なテーマなのに、結局、浅見光彦シリーズと同じようなアッサリ読める軽い作品になっているのが残念だ。

歴史物としても、SFとしても、恋愛物としても、全て中途半端。

色んな要素を少しずつ盛り込んでいるだけ。

数十年に渡って読み続けられるような作品ではない。

ただ、この作品が出て良かったと思える点が一つある。

一般人、特に女性で、靖国神社や、A級戦犯について、正しく理解している人は非常に少ない。

左翼系マスコミによって植えつけられた「軍国主義的なもの」という負のイメージを漠然ともっている人がほとんどだろう。

その人達に、内田はキッカケを与えた。

内田康夫という、多くの女性読者に支持されているメジャー作家が、靖国問題を取り上げた。

この意味と効果は非常に大きい。

靖国神社について、全く知識のなかった人や、誤った負のイメージを持っていた人に、この問題について考えるきっかけを与えたという意味での貢献度は大きい。

これはマイナーな作家や学者では不可能だ。

大新聞やテレビ局が、靖国神社を軍国主義の象徴にように報道し、中国や韓国の主張をそのまま垂れ流している中、メジャー作家である内田がそれに疑義を呈した事の効果は大きいはずだ。

そこだけは大いに評価したい。

どんな正論であろうが、マイナー作家が何を書いても一般国民には届かない。

靖国問題って本当は何なのだろうか
2時間ドラマではいつも拝見しているけれど、書物として読むのは何年ぶり・・・の内田作品。

22歳の武者滋はB29を迎撃、2機撃墜するが被弾し墜落・・・するはずが、現代の厚木基地にタイムスリップしてしまう。

靖国神社に奉られている本人の気持ちが、現実に語られることは無い。

だからこそ、小説という形の中で、戦争で散っていった尊い命を、どう考えていったらいいのかを、そして毎年夏になると取りざたされる首相や閣僚の参拝問題は、いったい何を見て、何を見ていないのかを、滋の言葉で、残された人々の言葉で語らせている。

「死んだら靖国で会おう」それが当時の兵士達の唯一の心の拠りどころだったなんて、純粋すぎて、哀しすぎて、涙が止まらなかった。

私の娘も滋と同じ22歳、戦争中で無く、平和な時代に生まれたことを幸せに思わずにはいられない。

そして、2度と、戦争はおこしてはならないと強く思った。

涙無しでは読めない。


本書は靖国神社を題材にしたフィクションで、戦時中の航空隊員が現代へタイムスリップするという設定で描かれています。

ストーリー自体はある程度先が読めてしまって残念でした。

しかしおそらく本書の持つ意味は、その物語の面白さというよりは現在の靖国神社が抱える問題を率直に表したところにあるのでしょう。

そしてそれを「内田康夫」という多くの人間が認めるベストセラー作家が書いたところに意味があるのでしょう。

内田氏が本書を出すことによって、これまで靖国問題に関心を持ってこなかった、あるいは関心の薄かった方たちに少しでもこの問題への興味を促すことが出来たとしたら、本書は「物語」の意味を大きく飛び越える役割を果たしたことになります。

靖国神社に祀られている当事者の気持ちを僕達は聞くことが出来ません。

そしてまた、世間一般で語られている靖国論議は当事者の方々の気持ちを全く置き去りにしたものばかりであることも事実です。

基本的に本書で語られる靖国論は「靖国神社に祀られている当事者の立場に立った」と仮定しての靖国擁護論であると思いますが、きちんとその他の反対意見の記述もあります。

それによって、立場の違いによる主張の違いもあるんだということを提示しているのには好感が持てました。

靖国論だけではなく戦前と戦後を比較した魂の荒廃を憂いているような記述もちらほらあって考えさせられました。

現代の若者にこそ読んで欲しい書ではないでしょうか。




靖国への帰還内田 康夫

チュニック
過ぎてゆく人々と時代。
枯山水のような本。


原っぱは死語に近い。

使われていない土地は、空き地や更地とは言われ、金を生まない土地、あるいは駐車場やビルを造れば収入があるはずの土地になっている。

今では、原っぱはドラえもんでしかみれないのか?昔、原っぱは、本や絵の余白と同じ意味があったのだと、この本を読みながら、改めて思った。

その原っぱが、空き地や更地ではなく原っぱであった時代を、人物のたたずまいで残照のように描いている。

描かれる人物、情、会話、街の景色は、強く主張しない。

去ってゆく人々。

生きてきた時代が、過ぎてゆく。

その様が、静かに描かれている。

池波正太郎は、この本を原っぱのような佇まいにするために、どの言葉、どの文章を削ったのだろう。

読みながら枯山水を思った。

池波正太郎の最高傑作
鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛人シリーズといわゆる時代劇もので有名な著者の書いた数少ない現代小説。

 著者は絶大な人気をj誇る小説家であるとともに、エッセイストとしても評価が高く数多くの著作を残す。

 舞台が現代となることで、エッセイストとして著者が持つ鋭い視点で社会を捉える力が存分に生かされている。

 また晩年に書かれたこの作品、主人公の設定に著者が浮かび上がってくるところもあり半自叙伝的ともいえる至玉の一冊。

 主人公はすでに筆を置いた劇作家。

 劇作家を引退した現在、すきな映画の評論を書きながら老いた日々をすごしている。

 にある日飛び込んでくる自分の過去の作品の再演の話。

 「今の演劇界ににはそぐわないよ」と考える主人公をよそに動きゆく周りの人々。

 主人公の前に現れた引退したはずの伝説の女優。

 やがて「過去の人」であった主人公の心が動き出す。

 主人公の周りに集う人々の光や影が失われてゆく下町の風景とともに鮮やかに描かれています。

 私自身は池波正太郎の最高傑作だと感じる作品です。

 池波正太郎のエッセイを読んだことのある人、ない人、時代劇を好きな人、嫌いな人すべての人にお勧めしたい作品です。
原っぱ (新潮文庫)池波 正太郎

体脂肪計
紛れも無い傑作の一つ
ん?、なかなかです
昨日、わずかな時間を利用して書店に行き購入 ”青春の門”は特に当方にとり、感慨深い作品群である。

はじめて読んだのは、中学の時父の本箱にあったのを、”盗み見?!”したことかな。

なぜ盗み見か?中学生には、この猥雑さと手に取るように把握できる情景描写、(このころの五木寛之はすごい)読んではいけない本と考えていたからである。

特に祖父母、父親が育った環境が、この本の舞台であり、いろんなシーンが実名で出てくるあたりは、なつかしく、甘酸っぱい気持ちになる。

伊吹信介(=信介しゃん)、主人公の破天荒な行動には憧れもあったかもしれない。

ともかく、20数年ぶりに1晩で読み上げてしまった。

放浪編は函館が舞台であり、当方はあまり好きではない。

読むなら、好奇心旺盛な主人公の”筑豊編”である。

若者の葛藤
日本の国民作家である五木氏の小説の中でも、「青春の門」は最も知名度の高い小説だろう。

誰もが通り過ぎる、あの哀歓の混ざった青春という時代を描いている。

私は今、その時代の真っ只中にいるので、この作品の主人公、伊吹信介と自分を照らし合わせていると、一際彼の喜びや苦悩が押し寄せてくるようだ。

青春とは出口のない葛藤なのだと、全ての巻を読み終えた時に感じた。

しかしその経験は決して無意味な物ではなく、人間が一人前に成長していく上で必要な経験であるという事も、この小説は私に示唆してくれた。

数ある青春小説の中でも、紛れも無い傑作の一つだ。
青春の門(第三部)放浪篇(講談社文庫)五木 寛之

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